認知症の症状のひとつに「徘徊」があります。本人にとっては目的があっての行動でも、迷子になったり思わぬ事故や行方不明に繋がることも。
ここでは認知症による徘徊が起こる背景や、いざという時に頼りになる対策グッズを紹介します。家族の介護をしている方や、育児と介護をこなすダブルケアラーの方の不安を少しでも軽くし、安心して見守れる環境作りの参考になれば嬉しいです。
「認知症と徘徊の関係」認知症による徘徊は、なぜ起こる?

まずは「認知症と徘徊」の関係を知ることが大切です。
徘徊には、本人の中で目的や行き先が存在することが少なくありません。かつての日課や仕事の習慣を思い出して外出してしまったり、認知機能の低下や記憶の欠落により自分の家を認識できなくなり、知らない場所だと思って外へ出てしまうことも。徘徊の理由を理解することで、より的確な対応策を選ぶことができるでしょう。
不安やストレスが、徘徊などの行動に現れることも
認知症の方にとって自宅の環境や周囲の状況が理解しにくくなると、不安や混乱が強まることがあります。心理的ストレスが行動面に影響し、何かを探すように歩き回ったり外へ飛び出してしまうケースも。本人の心に寄り添いながらなるべくストレスの要因を取り除いたり、安心して過ごせる声かけや環境づくりを行うことで徘徊のリスクを下げることが期待できます。
身元確認や早期発見に役立つ「徘徊対策グッズ」

いざという時に備え、徘徊の早期発見や安全確保に役立つさまざまな介護用品があります。たとえばネームタグやGPS機能付きの端末、防犯アラームやドアロックなど。これらを上手に取り入れることで早期発見に繋がったり、迷子になっても連絡がスムーズに取れる可能性が高まります。状況にあわせて複数の徘徊対策グッズを活用しても安心でしょう。
大切なのは「徘徊=いけないこと」と決めつけるのではなく、便利なグッズをうまく活用して危険を避けつつ、本人の気持ちも大切にしてくださいね。
1.緊急連絡先が表示されるQRコード付きの迷子札やシール
迷子札についたQRコードをスマホでスキャンすると、登録された家族や介護者の連絡先が表示されるというもの。徘徊が起きた際には警察や地域の協力が得られる事も多いですが、連絡先が明確になっている事でスムーズな保護に繋がります。キーホルダータイプやシールタイプがあり、連絡先の登録が複数できるものもあり便利です。
2.キーホルダー感覚で付けられるネームタグ(迷子札)
鍵やカバンなどに付けられ、素材やデザインも豊富で違和感なく日常生活に取り入れることができます。デザイン性の高いネームタグも多いので、いかにもな「迷子札」を嫌がる高齢者の方にもおすすめです。
3.認知症・徘徊対策向けに開発された「GPS搭載の靴」
GPSを利用した位置情報追跡は、徘徊対策として非常に有効です。本人がどこにいるかを地図上で把握できるため、迷子になった際も捜索範囲を絞り込みやすくなります。
靴にGPSを搭載するときは、本人が違和感を感じない自然な履き心地のモノを選ぶようにしましょう。迷子札が嫌がる高齢者の方にも有効ですが、バッテリー充電がこまめに必要だったり通信費用などのコストかかるので、その点を考慮しながら取り入れる事が大切です。
4.「探す」アプリで場所が特定できる、Appleの「AirTag」
介護者がApple製品(iPhone・iPadなど)をお使いの方であれば「AirTag」もおすすめです。充電の必要がなく電池が1年程もち、認知症の方のバッグなどに持ち歩くモノに取り付けておけば「探す」アプリで場所を特定する事ができます。通常はお財布や家の鍵など紛失防止に役立つアイテムですが、徘徊対策・迷子防止目的で使う方も多くいます。
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5.緊急連絡先と名前が入った「見守りシール」
認知症の徘徊は、何も持たずに出て行ってしまうことも・・・。そんな時に役立つのが衣類に貼れる「見守りシール」。名前や町名・緊急連絡先などが印字されたシールで、アイロン不要でぎゅっと貼るだけでOK。第三者に保護された時に役立ちます。夜間に徘徊してしまう可能性のある方には、洋服だけではなく下着やパジャマなどにも貼っておけば安心です。
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認知症・徘徊対策グッズ選びのポイント

徘徊対策グッズを選ぶときは、「使いやすさ」「見た目」「費用」などをバランスよく考えることが大切です。たくさん機能がついていても使いにくかったり、本人が嫌がってしまっては意味がありません。毎日ムリなく使えるかどうかを、まずはチェックしましょう。
また、GPSなどのサービスは月額料金やバッテリー交換の手間もかかるため、家族みんなで予算や使い方を話し合っておくと安心です。迷ったときは、ケアマネジャーや専門の方に相談して、本人や介護者に合ったものを選びましょう。
利用者の負担にならないデザインや扱いやすさ
介護の現場では「本人が自然に身につけられるかどうか」がとても大切なポイントです。首から下げるタイプや靴に入れるタイプなどは、「付けさせられている」と感じにくい工夫があると、抵抗なく使ってもらいやすくなります。
見た目が自然で違和感のないデザインを選ぶことで、徘徊対策グッズへの拒否感も少なくなり、より安心して使うことができます。
使い勝手やコストもバランスよく検討を
GPSタイプならアプリで通知が届き、QRコードタイプならスキャンで連絡先が分かるなど、グッズによって連絡の方法はさまざまです。いざという時にすぐ対応できるよう、ご家族のスマホの使い方や生活スタイルに合ったものを選びましょう。また、機能と費用のバランスもしっかりチェック。無理なく続けられるものを選ぶことで、安全対策とご家族の負担軽減どちらにも繋がります。
認知症・徘徊対策グッズで安心安全な介護環境を整えましょう

徘徊は介護をする家族にとって大きな心配ごと。身元確認や位置情報が分かるグッズを使うことで、不安をぐっと減らすことができます。日常の見守りに加え、万が一の備えとしても徘徊対策グッズは頼れる存在です。